空手道琉拳會・指導方針
空手を学ぶ全ての子どもたちに伝えたい「3つの基本」と伸ばしてもらいたい「考える力」
マニュアルは覚えられるのに、マニュアルのないことはお手上げという「自分で考える力」のない若者が増加しているそうです。これは現在の受験勉強のシステムや勝利至上主義のスポーツ指導の在り方に問題があるとも言われています。
私たちは子供たちの無限の可能性を引き出すために
- 生活の基本
- 体の使い方の基本
- コミュニケーションの基本と「考える力を伸ばす」事
を空手の稽古を通して指導をしています。
生活の基本
「礼儀」とは、私たちが相手の人や周りの人々に対して持つべき「気遣い」であり「心」です。その「礼儀」を相手に伝えるために必要となるのが「作法」です。
それは挨拶であったり、立ち振舞であったり、言葉使いであったりします。私たちが伝えたい武道教育とはこの礼儀と作法を学ぶことにより「思いやりの心」や「感謝の心」を育てることです。
体の使い方の基本
今、スポーツ障害で苦しんでいる子供たちが大変増えています。
子供たちの野球やサッカーなどのスポーツへの取り組みは非常に専門的になってきています。昔は週末だけだったクラブチームの練習が、今の子供たちは毎日のように練習に明け暮れています。
問題なのは、技術の習得や体力の増加には力を注ぐ反面、体のケアなど、怪我の予防に対する意識はあまり無いようです。
そのため、小学生でも高学年になるとびっくりするぐらい柔軟性が失われています。この柔軟性低下の原因は日常生活にも問題があります。それは、日本人にとって好ましい生活様式が欧米化されたことです。
例えば正座をしなくなり椅子での生活、雑巾がけでなくモップでの掃除、
和式トイレが洋式トイレに変わった裸足での活動が減り、クッション性のある高性能な靴の使用など。
このような、日常生活の変化が今まで自然に養われた体の柔軟性を奪っています。
掃除に始まり、正座や礼、型、組手などの空手の稽古は身体の使い方の集大成で、理想的な全身運動です。
これは、人間が本来持っている能力を最大限に伸ばすもので、全てのスポーツにも応用がききます。そのため、子供の頃に空手を習っていた野球選手やサッカー選手が以外に多いのです。
コミュニケーションの基本
コミュニケーションとはたんに会話をするということではありません。
コミュニケーションとは「共有する」「仲間になる」「一緒になる」ということで、人間関係の構築です。コミュニケーションの技術を磨くということは多くの人と、より良い人間関係が作れるということでとても大切なスキルです。
コミュニケーションの手段として大切なのは言葉だけではありません。コミュニケーションの中での言葉の必要性は全体の1割くらいで言葉だけのコミュニケーションでは伝えたいことがほとんど伝わっていません。
ではどのようにしたらいいのでしょうか?
例えば駅で言葉の通じない外国人に話しかけられたとしましょう。顔の表情、声のトーン、アイコンタクト身振り手振りなどあらゆる手段を使って相手に伝えようとします。そして、相手が理解できたか確認しますよね。
これがコミュニケーションの基本です。
あらゆる手段を使って伝え、そして理解できたか確認する。
これが大切です。
道場で先輩が後輩に掃除の仕方から、基本、型などを伝えるのには、このコミュニケーションの技術が大切でこれが出来ないと相手に全く伝わらず教えられません。
異なった年齢、異なった経験年数の子供たちが共通の目的を持って道場で活動する事により自然にコミュニケーション技術が身に付きます。
考える力を伸ばす
例えば2+3の答えは何でしょうか?5ですよね。
2と3を足すと5になると言う答えの導き方を教えるのがテーチングです。では、□+□=5 で□の中には何が入るでしょうか?
1+4、3+2などたくさんあります。
足し算のルールを教えたあと(テーチング)5という答えを導き出す方法を考えて選択してもらうのがコーチングです。
例えば
「強くなるにはどうしたらいいですか?」
という質問に対して,答えはたくさんありますよね。
強くなる方法を自分で考えさせて、実際に行動させて、結果を評価してあげる事が大切です。
現在のスポーツ界では「教えすぎ、指示しすぎ、怒りすぎ」が非常に多いようです。
このような指導では「考えなくなる、工夫しなくなる、指示待ちになる、チャレンジしなくなる」という状態に陥ります。
過度な管理は自発心や自立心を阻害してしまいます。指導者には「チャレンジは褒めて、結果は寛容に」が求められます。そのような指導により新たな挑戦をしたり、新たな創意工夫が生まれます。
コーチの語源は「馬車(coach)」。
コーチングとは大切な人を目的地まで届ける馬を意味しています。つまり、目的を達成するために手助けするのがコーチの役割です。
私達は子供たちの想像力を育て創造する力を身につけるように稽古体系を常に組み立てています。
そして、「自ら考え工夫して行動出来るようになる」そんな子供たちを育てて行きたいと考えています。